はぎれとふるぎとおなおしと

洋裁と洋服リメイクにほどほどに夢中な日々

おのくん

我が家には「おのくん」がいます。

東日本大震災の際、宮城県東松島市で被災され、仮設住宅で暮らしていたお母さんたちが作りはじめたぬいぐるみです。はじめは「私たちの住処である東松島に来てほしい」と願って作られていましたが、その後各種メディアで紹介され、今では復興のシンボルのような存在になっています。

おのくんを迎え入れたのは長男が生まれて1年も満たないころでした。子どもに寄り添う存在としてぬいぐるみをプレゼントしたいと思っていて、いろいろ探しましたがこれといって良いものが見つけられませんでした。それから産後はじめての帰省を前に、たまたま「おのくん」というぬいぐるみの存在を知り、うちに迎え入れるのが何か意味があるような気がして、帰省した際おのくんハウスに申し込みに行きました。

今年で9歳になります

本来おのくんの目は、黒目がくるくる動くボタンの目です。うちのおのくんは子どもがまだおしゃぶり大好きな時期だったので、ボタンを口に入れたり、外れたら飲み込んでしまうかもと心配になって、私が黒い糸で目を刺繍しました。もとの目を外すときはごめんねとつぶやきながら、糸で刺繍するときは元のおのくんの印象が変わらないように考えながら形を決めました。おのくん製作者の皆さん、ごめんなさい。

長男はこのぬいぐるみがとても気に入って、特に2~3歳のころはよく遊んでいました。幼稚園入園前の面接で「一番好きなおもちゃは何ですか?」と聞かれたとき「おのくん」と答えたほどです! 面接した先生は「?」となっていましたが、私はこれを聞いたとき、本当におのくんを迎え入れて良かったと思いました。

今ではすっかりインテリアの一部になっていますが、先日次男が恐竜とおのくんを組み合わせて遊んでいました。3か所ほつれが見つかり、中の綿が見えていたのでお直ししました。

おのくんを見るといつも、育児にいっぱいいっぱいだった頃の気持ちと長男の赤ちゃん顔を思い出してじーんとしてしまいます。